海峡都市
Singapore & Langkawi, 2018

1970年代生まれの共通感情なのかどうかはわかりませんが、シンガポールという地にはずっと憧れを抱いてきました。いわく海峡の都市国家、ガーデンシティ、ちりひとつ無い街角、グレーターチャイナの一角を為す華人の国などなど。
実際に訪れてみてそういった事前の知識が裏付けられたところもあれば、よい意味で裏切られたところもあり、有意義な旅となったのでした。
Day 1
28 April 2018
ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ
Gardens by the Bay
羽田からの深夜便で早朝のチャンギ国際空港に到着。幸いにしてホテルで部屋を用意していただいたので、アーリーチェックイン後シャワーを浴びてさっぱりして街に出てみます。
まずはガーデンズ・バイ・ザ・ベイへ。ガーデンズ・バイ・ザ・ベイはベイサイドに2011年に開園した広大な植物園で、高さ50メートルにもなる「スーパーツリー」が目印となっています。中はいくつかの施設に分かれていますが、中でも「クラウド・フォレスト」は内部に滝が流れる巨大な温室で、えすえふ感がすごかったです。「何度目かの全面核戦争を経て地上の生命が絶滅した後、残された人類はドーム型の人工都市で文明の火をわずかにともし続けていた……」とかそういう感じ。
中のフードコートでシンガポールチキンライスをいただきます。
いったんホテルに戻って一息ついた後、チャイナタウンのカラフルな街並みを眺めながらぶらぶら歩きます。
バーント・エンズ
Burnt Ends
そしてたどり着いたのが「バーント・エンズ」。今回の旅で是非訪れてみたいと思っていたレストランです。ちなみにシンガポールミシュラン一つ星、Asia's 50 Best Restaurant 2018の12位(シンガポールでは2位)です。
中はだーっと長いカウンターになっていて、オープンキッチンの様子を目の前で見ることが出来ます。また店内はロックがガンガンに流れていて、アンソニー・ボーデインがすぐ傍にいてもおかしくないような雰囲気でした(R.I.P. Anthony)。
料理は特注の石窯を活用した熾火焼きがメインです。肉の旨みを存分に活かした皿の数々は素晴らしいものでした。
ちなみに下の写真でブラウンのエプロンを着ているのがシェフのMr.Dave Pynt。私の席を担当してくれたのは向こうを向いているスーシェフ(かな?)でした。ショートカットでウェリントン眼鏡を掛けた彼女がテキパキと指示を出すと周りのむくつけき男どもが「
Oui!」と答えるのがすごくカッコよかった!
Day 2
29 April 2018
カペラ・シンガポール
Capella Singapore
シンガポールでの宿泊はセントーサ島のカペラ・シンガポールでした。2018年6月に米朝首脳会談が行われると言うことで日本でもにわかに有名になりましたね(とは言え、五月の連休時期ということもあり、日本人の宿泊客も結構多かったです)。
緑に包まれた敷地には孔雀さんも散歩しているような静かな環境で、エキサイティングなシンガポールの街とよいコントラストになっていました。本島とは30分〜1時間ごとにシャトルバスが出ているほか、セントーサ・エクスプレスのインビア(Imbiah)駅までも歩いて15分ほどです。
コロニアルな雰囲気と快適な施設が融合していて、卓越したサービスと併せて何一つ不自由なく過ごすことができたのでした。
私は初めてのシンガポールということもあって本島側の観光がメ インになりましたが、セントーサ島にはユニバーサルスタジオやキッザニアなど、家族で楽しめるレジャー施設も多くあるそうです。
さてこの日はシンガポールのコロニアル建築巡りをしてみます。
シンガポール国立博物館
National Museum of Singapore
シンガポールで最も歴史のある博物館だという国立博物館に入ってみます。
シンガプラと呼ばれていたマレー人の漁村が立地に目を付けた英国の統治下で現在の基盤が形作られ、その後第二次世界大戦時に日本に占領されたのち、独立をして現在のシンガポールに至るという、シンガポールの歴史を追体験できる展示となっています。日本占領時の展示には旧日本軍の銀輪部隊や「イエスかノーか」の山下将軍の映像なども使われていたりして。
第二次世界大戦後、いったんはマレー連邦、マレーシアとして独立しながらも、その後「マレー人のマレーシア」か「(中華系、インド系も含めた)マレーシア人のマレーシア」なのかで路線対立し、1965年8月、半ば追放される形で「シンガポール」としての独立を選択することになります。
その際のリー・クワンユーの談話の映像も展示されていて、私の胸を打ちました。なんの誇らしさも高揚感、満足感も無く、時に人目をはばからずに涙を拭うリー・クワンユー——私はこれ以上に哀しい独立演説をほかに知りません。
他にも1920年代の華やかな時代と1940年代、日本占領下のサバイバルの時代を向かい合わせの部屋に展示してたり、明確なコンセプトに基づいた展示が非常に面白かったです。シンガポール自体が2015年に建国50周年を迎えた若い国というのもあるのでしょうね。
プラナカン博物館
Peranakan Museum
15世紀後半からマレー半島にやって来た華人たちは、現地の生活に融合しながらも自分たちのルーツの文化を維持し、やがてプラナカンと呼ばれるようになりました。プラナカン博物館は彼らの生活や文化を展示している博物館です。建物自体も可愛らしくて一見の価値があります。
シンガポール美術館はちょうど展示替えで開館していなかったので外観だけぱちり。街の中心部の芝生では子供たちのサッカー大会が開かれていました。
ナショナルギャラリー・シンガポール
National Gallery Singapore
旧最高裁判所とシティホールのふたつの建物をリノベーションする形で2015年に開館したのがナショナルギャラリー・シンガポールです。シンガポール及び東南アジアの現代芸術コレクションでは有数の規模を誇るのだとか。
中はいくつもの展示室に分かれ、ギャラリー形式の展示が行われています。とても広いのと以前の構造を活かした作りになっているせいで、やや複雑なフロア構成になっています。チケットと一緒に貰える案内パンフレットは必携です。うろうろ迷子になってみるのもまた楽しいですけどね。
キャンドルナッツ
Candlenut
この日の夕食はコモ・デンパシーホテルにあるキャンドルナッツでいただくことにします。シンガポールミシュランの一つ星で、プラナカン料理としては唯一の星付きレストランなのだそうです。
ホテルの中のレストランだということであまり深く考えずに予約していたのですが、コモ・デンパシーホテルは最寄り駅から結構遠くてタクシーが必要でした。そういえばNahmに食べに行ったバンコクのコモホテルも駅から結構離れてたなあ。
店内は開放的でリラックスした清潔な雰囲気。私は「お・ま・かせ」メニューにしてましたが、中国料理とタイ料理を思わせる東南アジアのスパイシーな料理との融合で、なるほど確かにプラナカンを感じさせる素晴らしい料理でした。一緒に頼んだロゼワインとの相性もばっちりだったのでした。